どうもどうも、無資格マッサージ問題の解決を望む、鍼灸師・あん摩 マッサージ 指圧師のオリエンタル院長です。
今朝の日テレ「スッキリ」でも、詳しく特集報道していたので、ご覧になった方もおられると思いますが、接骨院などの不正請求に続き、医業類似行為でも詐欺・医師法違反の疑いで逮捕されましたね。容疑は40代女性に、赤外線で腫瘍が治るとウソの説明をし、治療費名目で現金39万円をだまし取ったとしている。
75歳自称女院長、「腫瘍治る」無免許で赤外線治療 香川県警、詐欺容疑で逮捕
この容疑者が、鍼灸マッサージ師免許を有していないのであれば、詐欺や医師法違反以前に、あはき法第十二条違反な筈です。
しかし取り締まりをする側としては、より罪の重い法律違反を適用したいので、あはき法違反で逮捕や起訴される事は、ほとんどありません。
したがって、このような事件は起訴されても、あはき法違反で判決が降される事は決して無いのです。
又、新聞も罰金で済まされるような違反は、いちいち報道なんかしません。
そんな事をしてたら、紙面が毎日スピード違反や駐車違反だけになってしまいますからね (^O^)
しかし、医業類似行為を禁じている、あはき法第十二条は、既に最高裁から憲法上、違法性が無い法条として判決が降されております。
憲法上、違法性の無い法律は、法優先が原則であります。
その第十二条には、
「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。」と明記されております。
ではこの容疑者の行為は、あはき法第十二条で禁じている医業類似行為に該当しないのか?
答えは以下を読めば、一目両全な事です。
◎司法による医業類似行為の定義認定:仙台高裁(昭和二十九年六月二十九日)
論旨は右被告人の行った療法はあん摩師、はり師、灸師、柔道整復師法にいうところの医業類似行為ではないと主張するので、これを案ずるに右法律第十二条にいうところの医業類似行為とは『疾病の治療又は保健の目的を以て光熱器械、器具その他の物を使用し若しくは応用し又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為であって他の法令において認められた資格を有する者が、その範囲内でなす診療又は施術でないもの』
「換言すれば『疾病の治療又は保健の目的でする行為であって医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゆう師又は柔道整復師等他の法令で正式にその資格を認められた者が、その業務としてする行為でないもの』ということになるのである。」
そして、あはき法を制定する理由の一つとして、国会議事録には、以下のように記録されております。
「苟(いやしく)も人体の疾病健康に関する業務は、一定の学術技能を修めた者でなければこれを行い得ないものとすることが、保健衛生上絶対に必要でありまして、從來とも同様の免許制度を採つて参つたのでありますが、この際免許を受ける資格の程度を從來よりも相当引上げまして、これらの者の素質の向上を図ることといたしたのであります。」
今回の事件は、まさに立法が憂いていた典型的な事件とも言えるものであり、容疑者が法律に基づかない医業類似行為者であるなら、あはき法第十二条違反であり、且つ詐欺や医師法違反でもあると考えます。
又、容疑者が鍼灸マッサージ師なのであれば、必ず治ると言って通院させたり、腫瘍との確定診断をしているので、詐欺や医師法違反だと考えます。
報道によれば、今回の被害者は良性腫瘍だったとの事なので、不幸中の幸いって感じです。
これが悪性腫瘍で進行の早いものだったら、取り返しのつかない事になっていたかも知れません。
これだけ情報が豊富な時代に、手指や赤外線で腫瘍が治る筈など無いと、疑わない事の方が、私には理解できないです。
今や身近に病院はいくらでもある時代ですから、先ずは病院で診察を受けるべきです。
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