2015年11月11日

05,無資格マッサージ - 無資格者の身勝手な言い分

よく無資格者の方で、「あん摩 マッサージ 指圧師に整体・カイロ・エステ・リフレクソロジー・タイ古式マッサージ・・・が出来るのか!」
「あん摩 マッサージ 指圧師の学校では、それら全てを勉強したのか!」
などと空しい事を言ってる方たちがいるようですが、逆にその方たちに聞いてみたいのは、医業であれば全て許されている医師は、医学部で全ての病気の手術方法、薬剤師の全ての業務、全ての医療検査技師業務、看護師業務〜〜あん摩 マッサージ 指圧・鍼灸の手技療法まで、医師に許されている行為の全てを教えているのかと問いたいです。

無資格者の行っている手技行為の全ては、「あん摩」「マッサージ」「指圧」の行為であり、それに多少のオリジナルを加えているだけなのです。そしてオリジナルを加えて施術する事は、私たちプロでも行っている事です。

あん摩 マッサージ 指圧・鍼灸の養成学校では、西洋医学(衛生・公衆衛生学、解剖学、生理学、病理学、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学)、東洋医学(東洋医学概論、経絡・経穴概論、東洋医学臨床論、あん摩 マッサージ 指圧理論、はりきゅう理論)、関係法規、及び手技・手法の実技訓練、器具を使用した物理療法の基本を教えるものであって、3,800時間以上の必須カリキュラムを専修しております。
そして免許取得後もスキルアップのための研修を重ねております。

従って実際の現場では、お客様の症状・要望を伺った上で、どの手技にどの手法を組合わせて施術するかを施術者本人が判断するものであります。
だからこそ施術者によって効果や満足度が違ってくるのであって、コピーしたように全く同じ施術では、自由競争の生業として成立しません。

そして全ての手技手法は「あん摩」「マッサージ」「指圧」の行為であり、「整体・カイロの矯正法」とか、「リラクゼーションの揉捏法」とか、「エステの軽擦法・タッピング法」などの分類は存在しません。

又、療術が按摩 マッサージ 指圧と学術的に異なると主張しておりますが、ネット上には理解不能なことばかり書かれております。

「整体マッサージ」「ボキボキしない痛くない整体」「東洋カイロ」・・・
整体マッサージとは何なのでしょうか?
ボキボキしない整体とは何なのでしょうか?
アメリカ発祥のカイロで、東洋カイロとは何なのでしょうか?

結局あん摩・マッサージ・指圧とは異なると言いながら、法的定義ばかりでなく、業界としての統一された定義すら無い事が分かります。

又、専門学校は学費が高いとか、学校が少ないとか言ってる方たちもおりますが、鍼灸マッサージ師が全員裕福な家庭に育った人ばかりだと思っているのでしょうか?

確かに視覚障害者の職域確保のため、国の施策として法律で「あん摩マッサージ指圧学科」の新設をコントロールしております。しかしそれも法律に基づいたものであり、何も手技の学校ばかりで無く、大学や弁護士の数なども国はコントロールしております。

又、その新設を認可するかしないかを決める医道審議会分科会に、民間療法である療術師団体(一般社団法人全国療術師協会)もメンバーに加わっている事をご存知なのでしょうか?

医道審議会 (あん摩 マッサージ 指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会) |厚生労働省


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
posted by オリエンタル院長 at 23:31| 無免許マッサージ問題

06,無資格マッサージ - あん摩 マッサージ 指圧師が無資格者に望むこと

私たちは、現在民間手技療法と称している手技自体を否定している訳ではありません。施術行為があん摩・マッサージ・指圧と何ら変わらない以上、名称まやかしでごまかすのでは無く、きちんとあん摩 マッサージ 指圧師免許を取得した上で、法律に基づいて生業するべきだと訴えているだけなのです。

国家試験全過去問題(あん摩 マッサージ 指圧師) | コクシーランドさんのサイトに、過去の国家試験問題が掲載されておりますので、対価を得て他人の身体に施術する者にとって、最低限必要な知識と責任を認識して下さい。そして国家免許取得に奮起していただく事を願います。

自分は美を追求する施術でお客様に喜んでいただきたい。
自分は骨格の矯正手技を用いて健康サポートをしたい。
自分はリラックスさせられるような施術でお客様を癒してあげたい。
先ずはあん摩 マッサージ 指圧師免許を取得した上で、それぞれが理想とするコンセプトや手技手法で生業して下さい。

医師免許があれば全ての医療行為は出来ます。
しかし現実として、皮膚科専門医が肝臓癌の手術が出来ますか?
病理学専門医が脳外科手術が出来ますか?
全ての医師が東洋医学概論に基づいたあん摩・鍼灸治療が出来ますか?

医師とて、医師免許を取得した後、診療範囲を広げる為、あるいはスキルアップする為に、医師免許取得後に専門技術を学んでいるのです。

民間資格は法律上、存在しない資格であり、公共の福祉に反しない事を前提に容認されているものです。そしてまた、有資格者がスキルアップとして有意義に活用出来る資格です。
しかし現状の民間手技療法は、公共の福祉に反していないとは言えるものではありません。

あん摩 マッサージ 指圧師免許があれば、柔道整復師の業務外なら全ての手技施術が、法律に基づいて堂々と出来るのです。今まで努力して積重ねてきた技術があっても、無資格者には肝心の施術が出来る法律上の免許が無いのです。

手技とは文字通り手で行う技ですから、資格の有無に関わらず、生まれながらの素質や経験を重ねる事によって技術レベルは変わっていくと思います。

しかし免許とは、単に上手・下手でなく、専門知識の担保と公共の福祉に反しないよう規制しているのであって、上手・下手はお客様が自らの感覚で評価していただくものであり、有資格者だから上手に感じるとか、無資格者だから下手に感じるというものではありません。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
posted by オリエンタル院長 at 23:27| 無免許マッサージ問題

07,無資格マッサージ - 無資格者が放置されてきた原因

無免許施術者が蔓延している原因として、あん摩 マッサージ 指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二十二年十二月二十日法律第二百十七号)・・・通称あはき法に、あん摩 マッサージ 指圧の定義が文章として明記されていない事にあります。

更に最高裁判決(昭和三五年一月二七日)に於いて、争点の違う訴訟でありながら、社会通念上、人体に危害を及ばさなければ・・・職業選択の自由と言う、主文全体の主旨を誤解させるような、誤った新聞報道がクローズアップされた事にも一因があります。

最高裁からは高裁へ差し戻され、判決は有罪でありながら、その部分だけが誤った認識のまま社会を一人歩きし、厚労省が拡大解釈を取り続けてきたからです。

定義が明記されていなくても、厚労省(旧厚生省)医務局長通知という公文章で明確な定義が示されております。

又、無免許業者が行う施術自体、何ら法的な定義の無いものであって、免許の必要なあん摩・マッサージ・指圧行為ではないと言うのは詭弁でしかありません。

※ 【昭和三八年一月九日 医発第八号】より抜粋
法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去または疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。

又、最高裁は『同法、一条に掲げるものとは、あん摩(現あん摩マッサージ指圧)、はり、きゅう及び柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が同法、十二条の医業類似行為であるかを、定める場合の規準となるものというべく、結局、医業類似行為の例示とみることができないわけではない。』と述べております。

あん摩 マッサージ 指圧、はり、きゅうの行為自体が定義と例示みる事が出来ると述べているのですから、あはき法に文章として明記しなくても、あん摩 マッサージ 指圧の施術行為そのものが定義であり、実質的に同じ行為をしている事は明らかであって、第一条違反で取り締まるべきものです。

そして第一条に掲げている業務行為は、既に健康に害を及ぼす恐れが認定されている行為であります。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
posted by オリエンタル院長 at 23:18| 無免許マッサージ問題

08,無資格マッサージ - 政治や行政の怠慢によって振り回されるこの業界

物的証拠を示す事は出来ませんので、あくまでも私的見解として述べますが、無資格マッサージ問題は、縦割り行政の弊害が複雑に絡み合って解決を難しくしているのだと思っております。

「ヘルスケア産業」は、経産省が管轄しており(単なる分類上のテリトリーであって、これ自体厚生労働省設置法第三条、同法第四条四項・十四項、及びあはき法第一条・第十二条に合致しません)。

当然経産省は産業の産出・経済活動を担う行政ですから、厚労省が自分たちの権限が及ぶ聖域に踏み込んでくる事を容認する訳がありません。

しかし、開設届すら出されていない実態不明の職種を、経産省が衛生管理・指導や危険行為が行われていないか監督する権限等はありません。そんな事をしたら今度は厚労省が黙っている訳が無いのですから。おまけに療術には総務省まで関わっているのですから、全く支離滅裂なのです。

現在の状況に、厳格にあはき法を適用すると、失業者が増え厚労省には都合が悪く、それによってヘルスケア産業が低迷するのは経産省にとって都合が悪い筈です。だから互いに相手の聖域に踏み込まないようにしているから、いつまで経っても解決出来ないのです。

無免許マッサージ問題は、あはき法を厳格に適用すれば、本来全く起こり得ない問題なのです。事故で被害を受けるのは、主権者国民である事を、国は今一度認識するべきです。

私的見解として述べましたが、それにはそれなりの理由があるのです。興味のある方は、
16,無資格マッサージ - ある日の保健所立入り検査を読んで考えてみて下さい。

しかし真の事情は、無資格問題が解決されては不都合な一部の政治家の事情と、厚労省のご都合にあるのです。
私たち鍼灸マッサージ師団体は、過去に定義の法制化と無資格問題解決を求め、36万以上の署名を集め、衆参両議院に請願書を提出いたしましたが、「審議未了」として議論すら行われませんでした。

又、厚労省にとって現在の無資格者が有資格者になって保険取扱いでもされたら、社会医療費を抑えたい厚労省には死活問題となるからです。
何よりも、厚労省自らの先人が出した、拡大解釈による通達の失態を撤回出来ないでいるからです。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
posted by オリエンタル院長 at 23:13| 無免許マッサージ問題

09,無資格マッサージ - 明らかになった民間手技療法の実態とあん摩 マッサージ 指圧師の主張

2012年8月に独立行政法人 国民生活センターは、手技療法による事故の統計を公表して注意喚起しており、これによって手技療法が、人体に危害を及ぼす可能性がある行為なのは明らかになりました。

よって社会通念上、人体に危害を及ばさなければ・・・職業選択の自由と言う無免許者の金科玉条は完全に否定され、もはや通用しません。

今まで厚労省の拡大解釈の元となっている、最高裁主文の一部である「人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局」が、完全に崩れたのですから、厚労省・保健所・警察は、速やかに最高裁の見解を遵守し、法に基づいた取り締まりを実行していただきたいものです。

■国民生活センター:手技による医業類似行為の危害−整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も
※ 統計にはエステのトラブル・事故件数は含まれておりません。又、ガイドラインを作成しても、ガイドラインが法律に基づくものでなければ効力はありません。

何よりも免許制度そのものが根拠法であり、ガイドラインそのものであって、本来厚労省が、あはき法を厳格に運用すれば、ガイドラインなど全く必要無い事であり、ガイドラインの作成を国民生活センターから要望されること自体、「あはき法第一条、第十二条違反」を明らかにしているのです。

又、エステサロンは「まつ毛エクステ」を施術している所も多いので、美容院の看板を掲げていない所は、美容院の開設届を提出しているか、美容師免許者が施術しているか、事前に保健所に確認した方が無難でしょう。

美容師の業務行為を行う建造物やスペースは、開設届をしていなければ、開設届出義務違反で罰せられるので、本来そんな所は無いという性善説を前提としておりますから、保健所は開設届を受付た所しか立入り検査を行っておりません。

■国民生活センター(2015/06/04公表):後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害

■厚生労働省:まつ毛エクステンションの危害情報について

■ウィキペディア:まつ毛エクステンション


又、毛乳頭を破壊する脱毛行為や「アートメイク(針先に色素をつけながら、皮膚の表面に色素を入れる施術行為)」は医療行為でありますから、医師でなければ本来施術する事は禁じられておりますので、エステサロンで施術している所は、医師が施術しているのか確認するべきです。

■読売新聞:アートメイクは「医療行為」…医師免許確認を

■朝日新聞:アートメイクの無資格業者が横行 健康被害も報告

■国民生活センター:アートメイクの危害(発表情報)


そもそも事故や損害の可能性を減らすよう、一定レベルの知識と技能を担保する為に、専門職として免許制度で法規制しているのであって、事故や損害を与えさえしなければ何でも自由というのであれば、この世にあるほとんどの免許制度は成立しません。

■読売新聞:「無資格」マッサージ、相次ぐ被害相談…骨折も

今後厚労省は、消費者庁から情報提供された相談件数を調査した結果、1件でも施術と事故の因果関係が立証されたら、全ての無資格医業類似行為者を「あはき法第十二条」を根拠に取り締まりをしなければなりません。

なぜならば、最高裁判決は「人の健康に害を及ぼす虞(おそれ)のある業務行為 = 職業」を問うているのであって、事故を起こした特定の店舗、及び個人を問うているのではなく、事故件数を問うているのでもないのです。

たとえ施術と事故との因果関係を立証出来なくても、毎年寄せられる被害相談件数自体が[健康に害を及ぼす虞(おそれ)]を立証しているのです!

そして虞(可能性)は過去の事実だけでなく、未来へ永久に続くものです。人間が行う以上、ヒューマンエラーの可能性がゼロになる事はありません。その証拠に、日本から交通事故がゼロにならないのはなぜでしょう?

物品であれば代品や金銭で償う事も出来ますが、人の身体は必ずしも完全に元へ回復するとは限らず、ご本人や身近な方たちの、その後の人生までも変えてしまう事もあります。
だからこそ、免許制度で法律に基づく知識や技術を修得した者でなければ、職業としてはならないと規制しているのです。

疾病の治療、又は保健の目的をもって行う行為は医療であり、民間資格で行う事を認めている法律は存在しません。
今までのように、みせしめ程度に摘発しても何も変わりません。厳格に対処して来なかった結果が現在の健康被害続発を生み出して来たのです。

そして国民生活センターの公表により、最高裁見解を拡大解釈して、医業類似行為を禁じている法律に背く、誤った厚生医務局長通知を出したまま、無資格者を野放しにしてきた厚労省の失態が、明らかになってきたのです。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
posted by オリエンタル院長 at 23:04| 無免許マッサージ問題