2015年11月11日

07,無資格マッサージ - 無資格者が放置されてきた原因

無免許施術者が蔓延している原因として、あん摩 マッサージ 指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二十二年十二月二十日法律第二百十七号)・・・通称あはき法に、あん摩 マッサージ 指圧の定義が文章として明記されていない事にあります。

更に最高裁判決(昭和三五年一月二七日)に於いて、争点の違う訴訟でありながら、社会通念上、人体に危害を及ばさなければ・・・職業選択の自由と言う、主文全体の主旨を誤解させるような、誤った新聞報道がクローズアップされた事にも一因があります。

最高裁からは高裁へ差し戻され、判決は有罪でありながら、その部分だけが誤った認識のまま社会を一人歩きし、厚労省が拡大解釈を取り続けてきたからです。

定義が明記されていなくても、厚労省(旧厚生省)医務局長通知という公文章で明確な定義が示されております。

又、無免許業者が行う施術自体、何ら法的な定義の無いものであって、免許の必要なあん摩・マッサージ・指圧行為ではないと言うのは詭弁でしかありません。

※ 【昭和三八年一月九日 医発第八号】より抜粋
法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去または疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。

又、最高裁は『同法、一条に掲げるものとは、あん摩(現あん摩マッサージ指圧)、はり、きゅう及び柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が同法、十二条の医業類似行為であるかを、定める場合の規準となるものというべく、結局、医業類似行為の例示とみることができないわけではない。』と述べております。

あん摩 マッサージ 指圧、はり、きゅうの行為自体が定義と例示みる事が出来ると述べているのですから、あはき法に文章として明記しなくても、あん摩 マッサージ 指圧の施術行為そのものが定義であり、実質的に同じ行為をしている事は明らかであって、第一条違反で取り締まるべきものです。

そして第一条に掲げている業務行為は、既に健康に害を及ぼす恐れが認定されている行為であります。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
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08,無資格マッサージ - 政治や行政の怠慢によって振り回されるこの業界

物的証拠を示す事は出来ませんので、あくまでも私的見解として述べますが、無資格マッサージ問題は、縦割り行政の弊害が複雑に絡み合って解決を難しくしているのだと思っております。

「ヘルスケア産業」は、経産省が管轄しており(単なる分類上のテリトリーであって、これ自体厚生労働省設置法第三条、同法第四条四項・十四項、及びあはき法第一条・第十二条に合致しません)。

当然経産省は産業の産出・経済活動を担う行政ですから、厚労省が自分たちの権限が及ぶ聖域に踏み込んでくる事を容認する訳がありません。

しかし、開設届すら出されていない実態不明の職種を、経産省が衛生管理・指導や危険行為が行われていないか監督する権限等はありません。そんな事をしたら今度は厚労省が黙っている訳が無いのですから。おまけに療術には総務省まで関わっているのですから、全く支離滅裂なのです。

現在の状況に、厳格にあはき法を適用すると、失業者が増え厚労省には都合が悪く、それによってヘルスケア産業が低迷するのは経産省にとって都合が悪い筈です。だから互いに相手の聖域に踏み込まないようにしているから、いつまで経っても解決出来ないのです。

無免許マッサージ問題は、あはき法を厳格に適用すれば、本来全く起こり得ない問題なのです。事故で被害を受けるのは、主権者国民である事を、国は今一度認識するべきです。

私的見解として述べましたが、それにはそれなりの理由があるのです。興味のある方は、
16,無資格マッサージ - ある日の保健所立入り検査を読んで考えてみて下さい。

しかし真の事情は、無資格問題が解決されては不都合な一部の政治家の事情と、厚労省のご都合にあるのです。
私たち鍼灸マッサージ師団体は、過去に定義の法制化と無資格問題解決を求め、36万以上の署名を集め、衆参両議院に請願書を提出いたしましたが、「審議未了」として議論すら行われませんでした。

又、厚労省にとって現在の無資格者が有資格者になって保険取扱いでもされたら、社会医療費を抑えたい厚労省には死活問題となるからです。
何よりも、厚労省自らの先人が出した、拡大解釈による通達の失態を撤回出来ないでいるからです。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
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09,無資格マッサージ - 明らかになった民間手技療法の実態とあん摩 マッサージ 指圧師の主張

2012年8月に独立行政法人 国民生活センターは、手技療法による事故の統計を公表して注意喚起しており、これによって手技療法が、人体に危害を及ぼす可能性がある行為なのは明らかになりました。

よって社会通念上、人体に危害を及ばさなければ・・・職業選択の自由と言う無免許者の金科玉条は完全に否定され、もはや通用しません。

今まで厚労省の拡大解釈の元となっている、最高裁主文の一部である「人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局」が、完全に崩れたのですから、厚労省・保健所・警察は、速やかに最高裁の見解を遵守し、法に基づいた取り締まりを実行していただきたいものです。

■国民生活センター:手技による医業類似行為の危害−整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も
※ 統計にはエステのトラブル・事故件数は含まれておりません。又、ガイドラインを作成しても、ガイドラインが法律に基づくものでなければ効力はありません。

何よりも免許制度そのものが根拠法であり、ガイドラインそのものであって、本来厚労省が、あはき法を厳格に運用すれば、ガイドラインなど全く必要無い事であり、ガイドラインの作成を国民生活センターから要望されること自体、「あはき法第一条、第十二条違反」を明らかにしているのです。

又、エステサロンは「まつ毛エクステ」を施術している所も多いので、美容院の看板を掲げていない所は、美容院の開設届を提出しているか、美容師免許者が施術しているか、事前に保健所に確認した方が無難でしょう。

美容師の業務行為を行う建造物やスペースは、開設届をしていなければ、開設届出義務違反で罰せられるので、本来そんな所は無いという性善説を前提としておりますから、保健所は開設届を受付た所しか立入り検査を行っておりません。

■国民生活センター(2015/06/04公表):後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害

■厚生労働省:まつ毛エクステンションの危害情報について

■ウィキペディア:まつ毛エクステンション


又、毛乳頭を破壊する脱毛行為や「アートメイク(針先に色素をつけながら、皮膚の表面に色素を入れる施術行為)」は医療行為でありますから、医師でなければ本来施術する事は禁じられておりますので、エステサロンで施術している所は、医師が施術しているのか確認するべきです。

■読売新聞:アートメイクは「医療行為」…医師免許確認を

■朝日新聞:アートメイクの無資格業者が横行 健康被害も報告

■国民生活センター:アートメイクの危害(発表情報)


そもそも事故や損害の可能性を減らすよう、一定レベルの知識と技能を担保する為に、専門職として免許制度で法規制しているのであって、事故や損害を与えさえしなければ何でも自由というのであれば、この世にあるほとんどの免許制度は成立しません。

■読売新聞:「無資格」マッサージ、相次ぐ被害相談…骨折も

今後厚労省は、消費者庁から情報提供された相談件数を調査した結果、1件でも施術と事故の因果関係が立証されたら、全ての無資格医業類似行為者を「あはき法第十二条」を根拠に取り締まりをしなければなりません。

なぜならば、最高裁判決は「人の健康に害を及ぼす虞(おそれ)のある業務行為 = 職業」を問うているのであって、事故を起こした特定の店舗、及び個人を問うているのではなく、事故件数を問うているのでもないのです。

たとえ施術と事故との因果関係を立証出来なくても、毎年寄せられる被害相談件数自体が[健康に害を及ぼす虞(おそれ)]を立証しているのです!

そして虞(可能性)は過去の事実だけでなく、未来へ永久に続くものです。人間が行う以上、ヒューマンエラーの可能性がゼロになる事はありません。その証拠に、日本から交通事故がゼロにならないのはなぜでしょう?

物品であれば代品や金銭で償う事も出来ますが、人の身体は必ずしも完全に元へ回復するとは限らず、ご本人や身近な方たちの、その後の人生までも変えてしまう事もあります。
だからこそ、免許制度で法律に基づく知識や技術を修得した者でなければ、職業としてはならないと規制しているのです。

疾病の治療、又は保健の目的をもって行う行為は医療であり、民間資格で行う事を認めている法律は存在しません。
今までのように、みせしめ程度に摘発しても何も変わりません。厳格に対処して来なかった結果が現在の健康被害続発を生み出して来たのです。

そして国民生活センターの公表により、最高裁見解を拡大解釈して、医業類似行為を禁じている法律に背く、誤った厚生医務局長通知を出したまま、無資格者を野放しにしてきた厚労省の失態が、明らかになってきたのです。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
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10,無資格マッサージ - あん摩 マッサージ 指圧師免許を保有しない民間手技療法は違法であると主張する根拠法と事実

歴史的事実と公文書は、いくら屁理屈を並べ立てても、決して覆す事は出来ません。
全ての根源は、過去の最高裁主文の一部分である「人の健康に害を及ぼす恐れのある業務行為に限局」に過剰反応し、拡大解釈し、「昭和三十五年三月三十日付け医発第二四七号の厚生省医務局長通知」にあるのです。

最高裁から合憲と判決されている、医業類似行為を禁じている法律を無視しながら、いつの間にか「恐れのある業務行為」を、「因果関係の立証」に解釈を拡大し、それを長年正しい解釈に軌道修正しないまま、あはき法を運用している現厚労省にあるのです。

今までも裁判で、施術と事故の因果関係が立証されている事例があるにも関わらず、未だ禁止になった民間手技療法は一つもありません。そして拡大解釈を修正しないまま、取り締まりを放棄してきたのです。

国民生活センターの公表をきっかけに、美容師免許を有しない、まつ毛エクステンションを業としていた人たちは職を失いました。

その中で一度もケガを負わせる事も無く、生業していた人たちは、医業類似行為の現状をどのように感じているのでしょうか?

◎日本国憲法第二十二条

1,何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
 ↓

◎厚生省医務局長発令(昭和二十三年六月)

「医業類似行為の中でも疾病治療を目的としかつその可能性のある行為は医の行為であってこれを業とすることは医業となるもので、医業類似行為ないしは療術行為と称されているものの中には、実質的に医業に属するものが相当数あり、これらの行為は免許を受けた医師でなければ業としえない性質のものである」

「医業類似行為とは「疾病の治療又は保健の目的を以て光、熱、器械、器具その他の物を使用し若しくは応用し又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為であって他の法令において認められた資格を有する者が、その範囲内でなす診療又は施術でないもの」
 ↓

◎医師法第十七条(医師法 昭和二十三年七月三十日法律第二百一号)

医師でなければ、医業をなしてはならない。
 ↓

◎司法による医業類似行為の定義認定:仙台高裁(昭和二十九年六月二十九日)

論旨は右被告人の行った療法はあん摩師、はり師、灸師、柔道整復師法にいうところの医業類似行為ではないと主張するので、これを案ずるに右法律第十二条にいうところの医業類似行為とは『疾病の治療又は保健の目的を以て光熱器械、器具その他の物を使用し若しくは応用し又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為であって他の法令において認められた資格を有する者が、その範囲内でなす診療又は施術でないもの』

換言すれば『疾病の治療又は保健の目的でする行為であって医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゆう師又は柔道整復師等他の法令で正式にその資格を認められた者が、その業務としてする行為でないもの』ということになるのである。
 ↓

◎あはき法第十二条

何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。

※ 「第一条に掲げるもの」とは、あはき師の事では無く、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうの業務の事である。
 ↓

◎最高裁判決(昭和三十五年一月二十七日)

憲法第22条は、何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有することを保障している。

されば、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法第12条が何人も同法第1条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならないと規定し、同条に違反した者を同第14条が処罰するのは、これらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。

ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。

それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであって、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律第12条、14条は憲法第22条に反するものではない。
 ↓

◎国民生活センターの公表

『手技による医業類似行為の危害−整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も』
 ↓

◎最高裁第2回上告審判決(昭和三十九年五月七日)

同第二点は、あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法十二条の医業類似行為の内容が、明確でないことを前提として、憲法三十一条違反をいうものである。

しかし、前記法律、十二条は「何人も、第一条に掲げるものを除くほか、医業類似行為を業としてはならないと規定し、同法、一条に掲げるものとは、あん摩(現あん摩マッサージ指圧)、はり、きゅう及び柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が同法、十二条の医業類似行為であるかを、定める場合の規準となるものというべく、結局、医業類似行為の例示とみることができないわけではない。

それ故、右十二条が所論のように、犯罪行為の明確性を欠くものとは認められず、違憲の主張は前提を欠くものであって、採るを得ない。
 ↓

◎厚生省医事課長通知(昭和41年9月26日)

医行為であるか否かは、その目的又は対象の如何によるものではなく、その方法又は作用の如何による。医行為の目的は治療に限定されない。
 ↓

◎大審判(昭和元年12月25日) 東京高裁判決(昭和42年3月16日) 浦和地裁川越支部判決(昭和63年1月23日)

人体への危険性は、人の健康に害を及ぼすことが具体的に認められるものであることを要せず、抽象的危険性で足りる。
 ↓

◎医業類似行為に対する取扱いについて(平成三年六月二八日 医事第五八号)

(2)あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為について
あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二により同法公布の際引き続き三か月以上医業類似行為を業としていた者で、届出をした者でなければこれを行ってはならないものであること。

したがって、これらの届出をしていない者については、昭和三十五年三月三十日付け医発第二四七号の一厚生省医務局長通知で示したとおり、当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。
 ↓

◎国民生活センターの公表

『手技による医業類似行為の危害−整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も』
 ↓

◎あはき法第一条

医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
 ↓

◎あはき法第十二条の二

この法律の公布の際引き続き三箇月以上第一条に掲げるもの以外の医業類似行為を業としていた者であつて、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法等の一部を改正する法律(昭和三十九年法律第百二十号。以下一部改正法律という。)による改正前の第十九条第一項の規定による届出をしていたものは、前条の規定にかかわらず、当該医業類似行為を業とすることができる。
ただし、その者が第一条に規定する免許(柔道整復師の免許を含む。)を有する場合は、この限りでない。

※ これによって届出をしていた医業類似行為者に限り、一世一代その医業類似行為(療術)を、業務とする事が許されるようになりました。
従ってその療術師たちも、あはき法によって管理監督され、あはき師と同じように義務と責任が課せられております。
 ↓
これだけの事実と根拠法がありながら、一流の法治国家が法の解釈を曲げてまで、無資格者を野放しのまま放置する理由が見つかりません。


最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
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11,無資格マッサージ - 補足説明

最高裁の主旨は、医業類似行為が公共の福祉に反する業務行為と立法が認定したからこそ、法律に基づくあはき法第一条に掲げている者、つまり、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、後に独立法制化した柔道整復以外、「業としてはならない」として、「あはき法第十二条」で禁じており、その第十二条が職業選択の自由を保障している「憲法第二十二条」に反していない「合憲な法律」だと述べているのです。

つまり、最高裁も医業類似行為を業とすることが、公共の福祉に反するもの(健康に害を及ぼす恐れのある業務行為)と、立法が認定した事を否定しておらず、その違法性も認定しておりません。職業選択の自由が憲法で保障されている以上、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解すのは当然であり、立法が恐れを認定したからこそ法で禁じているのです。

しかし、旧厚生省医務局長通知で「判決は、前項の医業類似行為業について、禁止処罰の対象となるのは、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務に限局されると判示し、実際に禁止処罰を行なうには、単に業として人に施術を行なったという事実を認定するだけでなく、その施術が人の健康に害を及ぼす恐れがあることの認定が必要であるとしていること。」と、立法が健康に害を及ぼす恐れを認定している事を無視し、拡大解釈を通達して、取り締まりを責任放棄してきたのです。

この通達解釈が正当なものであるならば、業務として無免許で、他人の髪の毛をカットしたという事実を認定するだけでは、禁止処罰を与える事は出来ません。
ケガや損害を与えないでカットを仕上げれば、害を認定する事は出来ません。

一種運転免許だけで、白タクを行ったという事実を認定するだけでは、禁止処罰を与える事は出来ません(但し実際には一種運転免許以前に、道路運送法の一般乗用旅客自動車運送事業に抵触します)
客を目的地まで、何のケガも損害も与えないで送り届ければ、害を認定する事は出来ません。

無免許で税理士行為を行ったという事実を認定するだけでは、禁止処罰を与える事は出来ません。
依頼者が何の損失も損害も受けなければ、害を認定する事は出来ません。

つまり何でも無免許で職業とする事が許される理屈であって、免許制度の根幹を否定する通達なのです。

そしてこの拡大通達を修正しないまま、無資格者を野放しにしてきた結果、あはき法制定当時の立法が憂いていた通り、現実のものとして健康被害続発を生み出してきたのです。

厚労省ばかり批判しましたが、私的見解としてこの裁判は、司法によるダブルスタンダードであり、判断ミスであると言わざるを得ません。

何故なら、行為を禁じている第十二条の医業類似行為とは何か、人や行為を裁くために必用な「罪刑法定主義」を明らかにするため、高裁で医業類似行為の定義を明確にし、その定義に該当する行為(光・熱)を業務としているにも関わらず、『医業類似行為を業とすることを禁止し、同条に違反した者を同法十四条が処罰するのは、それが公共の福祉に反すると認められるからであり、しかも、医業類似行為が公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼすおそれがあるからである。』と、医業類似行為が健康に害を及ぼす恐れのある行為であると認定し、公共の福祉に反するものと認定し、合憲だと判示しているにも関わらず、行為の違反だけでなく、使用した器具の危険性の有無まで判断を拡張し、田中裁判長たちの反対意見が一切反映されなかった事にあります。

これは憲法第二十二条の職業選択の自由を根拠に、免許業務を無資格で行った場合、いちいち個別に危険性や損害の立証をしなければならない事であり、個別に立証しなければ罰する事が出来ないものと解釈出来るもので、全ての免許制度の根幹を否定するものであると言わざるを得ません。

使用した器具の危険性は、免許者が業務中に使用して危害を及ぼしてしまった場合、施術方法に過失があったのか、使用した器具に危険性があったのか、原因を明らかにする際に立証するべき事です。

しかし最高裁は、翌36年の別件の判例で、180度方向転換したかのように「国民の保健衛生上の見地から、公共の福祉を維持するためやむをえない措置として是認されなければならない」と判示しており、憲法で保障されている自由があっても、公共の福祉に反する恐れ(可能性)があるものは、制約を受ける事があってもやむを得ないと判示し、それによって生じる恐れを何ら立証する事なく、禁止法条だけを適用して処罰しております。

だからこそ立法において、法制化されたほとんどの免許制度は、個別な恐れの立証まで求めることなく制限されている筈です。
従って飲酒運転は、基準値以上の飲酒をしていないか、それを認定するだけで、個別に運転に与える影響を立証する事なく一律に禁じられております。
ただ、有罪であっても飲酒量によって量刑が違ってくるので、量刑判断の証拠としてアルコール濃度を検査しているだけであります。

又、健康に害を及ぼす恐れとは、何も骨折や打撲の様なケガばかりでは無く、田中裁判長、下飯坂裁判官、石坂裁判官が反対意見で述べている事も、公共の福祉に反する根拠そのものであり、単に手技の危険性や使用した器具の危険性だけで、法規制している訳では無い筈です。

職業免許制度とは、国民の幸福に享受すべき職業であっても、職業選択の自由以前に、公共の福祉に反する『おそれ(可能性)』のあるものを、立法に於いて議論を重ねた上で、法制化して制限しているものなのです。

又、この裁判の争点は、使用した光・熱等の器具の危険性を判示したもので、法律に基づかない手技の医業類似行為を容認した裁判では無く、『健康に害を及ぼす恐れのある業務行為に限局』とは、公共の福祉上、当然の見解を述べたものであり、無資格医業類似行為が、公共の福祉に反していないものと認定したものではありません。
そして何よりも『有罪』の判決が降された裁判です。

立法に於いて、健康に害を及ぼす恐れのある業務行為として認定され、禁止法条として制定された法律を、司法に於いて職業選択の自由を保障している憲法に反していないと認定されたにも関わらず、一行政の拡大解釈された局長通知の方が、効力が上位のような異常事態のまま半世紀以上も続いており、名称まやかしの無免許あん摩・マッサージ・指圧行為を野放しにしてきたのです。

そして禁止法条に誤りが無かった事は、国民生活センターの公表やベビーマッサージ死亡事故で、有罪が降された事で立証されております。

又、あん摩・マッサージ・指圧が、健康に害を及ぼす恐れがある行為として法規制されている以上、実質的に同じ行為をしている民間手技療法が、健康に害を及ぼす恐れが無いものと立証できる合理的根拠がありません。

あん摩・マッサージ・指圧が立法に於いて、無制限に許容する事が公共の福祉に反するものと認定され、法規制しているならば、同じ立法に於いて、無制限に許容する事が公共の福祉に反するものと認定された医業類似行為も、第十二条で禁じている以上、禁止法条である第十二条を厳格に適用しないのは、憲法十四条『法の下の平等』に著しく反していると言わざるを得ません。

又、あはき法第十二条が合憲な法条として認定され、削除される事なく、一字一句変更される事も無く、効力を有している事は、『健康に害を及ぼす恐れの無い医業類似行為は存在しない』という事です。

そして禁止法条第十二条を厳格に運用せず、民間手技療法をここまで無法地帯にしてしまった責任は、厚労省にあると言わざるを得ません。

今まで法律に基づかない無免許医業類似行為は、健康に害を及ぼす恐れは無いとの建前で、野放しにされてきました。しかし現実には、無資格ゆえに内々に示談で済ませ、無資格ゆえにニュースで報じられる事も無かったのであります。

近年の情報ツールの発展により、個人でも容易に情報発信が出来るようになり、被害者からの情報発信が社会に届けられる事によって、次々と違法な無資格医業類似行為の真実が明らかになってきました。

それでは、医業類似行為とは何か? 医業類似行為者とは何か?
あはき法第十二条では、「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」と禁じております。

厚生省医務局長発令と仙台高裁(昭和二十九年六月二十九日)では、
「医業類似行為とは 疾病の治療又は保険の目的でする行為であって医師・歯科医師・あん摩師・はり師・きゅう師又は柔道整復師等の法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないものをいう」と定義しております。

あはき法第十二条では医業類似行為を禁じておりますが、厚生省医務局長発令と仙台高裁では、医業類似行為を定義し、存在する事自体は認識しております。
これを理解するには「医業類似行為」とは何か、「医業類似行為者」とは何か、そしてその後、その人たちの取扱いを国はどのようにしたのかを、少し踏み込んで理解しなければなりません。

これを分かりやすく解説しているブログがあります。本県出身で、「日本医史学会」「順天堂大学医学部医史学研究室」に在籍され、手技療法に関する数々の論文を発表しておられる、清野充典先生が、「医業類似行為」「医業類似行為者」の論文を、一般の方でも分かりやすいように、ブログでアップしております。

ご本人から参考記事として、紹介するご快諾は得ておりますが、ブログなので少しずつ9回に分けられております。ブログという性質上、アクセス数の観点から、一つにまとめて転載する訳にはいきませんので、9回分のリンクを貼りつけました。

これを読んでいただければ、現在社会に溢れる整体・カイロプラクティック・リフレクソロジー・つぼ療法等は、違法な無免許治療行為をしている事がご理解いただけると思います。

◎ 医業類似行為とは? ◎

医業と医業類似行為 1

医業と医業類似行為 2

医業と医業類似行為 3

医業と医業類似行為 4

医業と医業類似行為 5

医業と医業類似行為 6

医業と医業類似行為 7

医業と医業類似行為 8

医業と医業類似行為 9



最終編集日:2015/11/11:オリエンタル 院長
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